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2019-02-10

『生まれる時代を間違えました』というけれど…

―――――――アンティーク業界の話なんですがね。

アンティークは大正、昭和初期の着物なので『ああああ!!あの時代に生まれたかった!!生まれる時代を間違えました
』と仰る方がたまにいらっしゃるのです。

気持ちはわかる。

街中にアンティーク着物が溢れているのを想像するだにうっとりするではありませんか。

……しかしあっしはまっぴらごめんでございます

――――――なぜなら、この時代、この時だからこそ自分はアンティーク着物を安価で抵抗もなく着られるのです。

これがもし、大正期に生まれていたとしたらどうであろうか。

着物はいつの時代も高いのです。昔は洋服だってお安くはなかったので、着物だけが突出して高いというものでもなかったでしょうが、今は洋服が激安時代なので着物だけが悪目立ちで高過ぎる印象に。

そう、今、自分が普通に着られているアンティークの染めの美しい着物だって、大正期は富裕層のほんの一握りの人だけが、しかもお若い未婚のお嬢さんだけが着ることを許されていた物であったろう。

…そのような富裕層に生まれている保証は全くない(笑)

下手すれば大量生産の銘仙すらも着ることができないような貧困層に生まれて、ああ野麦峠だったかもしれないのです。

あの宇野千代先生をして、若かりし頃は極貧で、銘仙1枚が一張羅。

1枚しかないので衣替えの時期には夜なべして一晩で袷を単衣に、単衣を袷に直してその1枚の銘仙を着続けていたそうですから。

決してそれは珍しいことでもなかったのではと思います。

それに当時は職業によって着る柄とかがあったようで、綺麗で素敵だからと云っても一般女性は着ちゃいけない、着たら後ろ指さされる場合もある柄も多々あったようなのです。

今でしたらそんなの関係なく着られますもんね。

更に、大正期の富裕層に生まれていたとしても、その後の激動の昭和を生き抜かねばならぬのです…

没落し、手持ちの着物を売り食いに次ぐ売り食いで散逸させる運命かもしれないのです。

実際、今、田舎の農家の蔵には昔のいい着物がいっぱい眠ってたりしますが、それは食料を求めて着物片手に田舎にやって来ていた没落富裕層が多かったことを意味します。

…ちなみに『着物と食料を物々交換してくれるわけではなく、お金はお金で払わされた。いい着物を持参すると優先的に食料を『買わせて』貰えただけ』とのことです。

大切なお気にいりの着物を食料購入整理券代わりに農家に献上するだなんて、どんだけ惨めで切ないものであろうか。

でも着物として残っていればいい方で、空襲によって全てが灰になってしまった場合も多かろう。


そのような時を経てきた着物たちが今、リサイクルショップでもネットオークションでも簡単にお安く手に入る時代に。

これが20年前でもダメ。本当に、ここ十数年の時代の変化によって当時の超高級品であっても、今庶民の我々が手にし、着ることができるようになったのです。

――――――もう、この時代に生まれたことを感謝しこそすれ、『生まれた時代を間違えた』などとは思えませんよ、あたしゃ。

ましてやあっしなぞは『どうかしているサイタマ』の着物激安地帯に流れ着いて生きておりますからね。

この時、この地で生かせて頂けるありがたみを日々噛みしめているのでございます。


――――――しかし大正期に生まれたくはないものの、そのアンティーク着物で彩られて美しかったであろう町の往来、特に銀座あたりの風景は見てみたい。

誰でもいいから現存するモノクロ写真を最先端の技術で総天然色に復元させ、是非我らアンティーク着物好きに見せてくれ!!と祈るばかりでございます。

                  

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